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間違えている伝統

 確かに着物は高いです。
庶民が、普通に着こなして楽しむという次元を圧倒的に凌駕したものとなっています。
普通はうん10万しますし、以前見た振袖は200万円でした。
いったい誰が着るのだろう・・・
もちろん、すべてがすべてそのような価格という訳ではないですが、
和服とは高く売るものだという勝手な思い込があると言われても仕方が無いでしょう。

そのような高い和服を売っている業者側の言い分に、「伝統を守る」というのが付き物のようですが、
そこに一つ大きな間違いあります。

このウェブサイトのコラムに書かれていた文には、
庶民が買える着物「も」あって良いのではないかとありましたが、
むしろ、高い着物「しか」ないではないかと言うべきです。
というのも、では江戸時代(もっと前でもいい)、日本人は一体何を着ていたのでしょう。
もちろん和服です。和民族(日本人)の服です。
では、江戸時代の庶民は普段から、現在の金銭感覚でいう、
うん十万円相当の着物を着ていたのでしょうか。絶対無いです。いたとしたら道楽者です。

つまり、和服は庶民が着るようなものから大名が召すようなものまで、沢山ある訳です。
例えば、日本は刃物の伝統も素晴らしいですが、
100円均一で売っている包丁もあれば200万円するハサミだってあります。
今の呉服業界が言う伝統というのは、
言ってみれば大名が着ていた和服などの高級和服に対しての話であって、
むしろ一般の「日本人」が着ていた和服を作っていない時点で、
「一部の和服しか伝統を守ろうとしていない」のです。
 それどころか、実際は和服の高価さばかりを国民に植え付けてしまい、
和服を着るという、「日本人の伝統」をブチ壊した者たちと言う事も出来ます。

ただ、和服を安くしろというのは、高価な素材を使ったものを作るなと言う意味ではなく、
安い着物を「新規に作れ」という意味です。
誰も、高級素材を無理からに安くし、その着物の伝統を廃れさせようなどとは思いません。
いくら高いからといって、柳刃包丁を作るなとは思いませんし、それを100円で売れなんて思いません。
しかし、今は日本人が普通に着る事が出来る「日本民族の服」が無くなってしまっています。
「日本人の服を返して欲しい」ですし、そんな事業に携わるのは名誉な事なのでは
ないでしょうか。

文責:目黒の秋刀魚



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