これまで、媒体を問わず、数多くの「きもの」について
語られる機会がありましたが、
必ずと言っていいほど、出てくるのが、「伝統と文化を守る〜」と言う言葉。
この「守る」という言葉、きもの業界の「おごり」に聞こえるのは私だけでしょうか?
もちろん、古いものでもいい物はいいと思いますし、
「着物」というすばらしい伝統と文化を継承し、発展させていく事は
重要だと思います。
ただ、古い形骸化した「伝統と文化」に固執する必要性はないと思うのです。
守ると言う言葉に執着すればするほど、きものを神格化・権威化させ、
現代のお客のニーズに対応できなくなっているような気がします。
もちろん、そのような着物もあってもいいとは思うのですが、現状を見る限り、
どこを見回してもそのような着物ばかりのような気がします。
着物を守りたい想いはわかるのですが、そのことが逆に着物を着たい人たちや、
場合によっては、今、着物を着ている人たちをも遠ざけてしまう
のではないでしょうか?
このままでは、そう遠くない将来、
それこそ文字どおり「伝統芸能」の衣裳としての「着物」か、
博物館行きの「着物」ばかりになってしまうのではないか?
という危惧を抱かずにはいられません。
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